自然の川とダム
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川にダムができたらどうなるの?
同じ雨の量で、自然の川で起こっていた増水よりもさらにひどい影響がダムの下流で起こることになります。
そのひどい影響で最初に被害を受ける川の部分は、伏流水やわき水がでているところです。
水圧で石が軽く浮いているので、増水の流れに簡単に砂利が持ち去られてしまうのです。伏流水やわき水がない場所の砂利や石は隙間無く詰まっていて石が動かないほど固いため、流れにはあまり持ち去られません。この結果、伏流水やわき水がある場所では、増水のあと川底が極端に低下します。そこの川岸は崩壊し、垂直の壁になってしまいます。
このようなダムのある川の下流で増水が何度も起こるとどうなるでしょう?
垂直の壁が何度も繰り返してくずれることになり川幅がだんだん広くなってきます。増水のたびに崩壊を繰り返し川幅が2倍にも、3倍にもなってしまったところもあり、実際に5倍くらいの広さになってしまったところもあります。
ダムのない川では川岸に苔むした石が見られ、水が流れるそばまで草木が豊かに茂っていますが、ダムのある川では、増水を繰り返している間に川岸が崩壊し、川幅が広がるために、水が流れているところと草木が生えているところの間に石がごろごろ転がった「荒れた川原」が出現してしまいます。
治山・砂防ダム(河川を流れるすべての構造物)の仕組み
1.自然の川の石の動く様子:水や砂利は上流から下流へ常に動いている

2.そこにダムができるとどうなるだろうか、、、

3.ダムによって水の流れがせき止められると、水面はダムのところで水平になり、その結果、流速が極端に小さくなり、砂利を運ぶ力が極端に小さくなるのです。

するとどうなるだろうか、、
4.砂利を運ぶ力が極端に小さくなるから、運んでいた砂利のほとんどが沈殿するのです。ところが、沈殿しにくい微細な粒子の砂や動植物の死がいなどの有機物が混じった泥はダムの放流口の方へと引き寄せられながら、ゆっくりと沈殿します。これがダムに泥が大量にたまる仕組みです。
しかも、ダムに流れ込んだ砂利は大小微細粒子、有機物まで、ダムによって見事にふるい分けが行われていることがわかります。すると、川水が大増水した時には、ダムから下流に流れ出す砂利と、ダムが無かったときに川を流れていた砂利とでは質が違うことになります。流れる砂利の質や砂利が流れる仕組みを変えてしまうのです。
これが川が壊れる原因となっているのです。

その影響はどのような形で現れるのでしょうか、、、
砂利が流れ込んでいる小さな池
下の写真は、小さな池ですが、ダムと同じ仕組みになっています。左側から川水が流れ込み、右側から川水が流れ出しています。

ダムに流れ込んだ砂利は、大小微細粒子、有機物までダムによって見事にふるい分けられる

5.ダムの下流では再び、流速が大きくなります。そして、ダムが無かったときと同じように、川底の砂利を運び去ります。

6.ダムから下流の川底では、砂利は砂利でも動かされやすい小さな石や砂が失われて減少して、だんだん大きな石が目立つようになってきます。

7.しかし、ダムの下流では今まで通りの砂利が来なくなるので、ダムから下流では川底の砂利がどんどん失われていきます。

8.ダムから下流の川底では、川底を構成していた小さな石や砂が失われる結果、川底が低下してきます。川底が低下すれば、川岸も坂のように傾斜してきます。すると、川岸からも石が滑り落ちたり、転がりだしてくるようになり、川岸はさらにさらに急傾斜してしまうのです。

さて、こうした時に大雨が降り、大増水してしまったらどうなるでしょうか、、、
9.まず、ダムでは沈殿していた微細な砂や動植物の死がいなどの有機物が混じった泥が浮き上がり、これがダムから下流に流れ出すことになります。ダムがないときにはわずかな量の泥が川を流れていたのですが、ダムが泥を大量に集めこんでいるので、流れ出す泥の量はダムが無いときに比べて極端に大量になるのです。その結果、ダムが無いときに比べて、ダムから下流の川水の濁り(泥水)がひどくなるのです。また、ダムから下流ではさらに川底の砂利が失われ、川底からも砂利が失われてしまいます。

ダムの影響をこのまま放置していると、その影響はさらに進行し、拡大していきます。
10.次第に川底が下がると、今度は川岸が崩れ始めて、そこから新たに泥が流れ出るようになります。こうして川を流れる泥の量が増していき、泥水がだんだんひどくなっていきます。そして、水がきれいに澄んだとき、川底に微細な粒子の砂から有機物などの泥が大量に沈殿し、石と石の間の隙間が埋められてしまいます。

川底の石の間を流れる水、わき水や伏流水が萎え、失われ、これがサケやサクラマス、ウグイなどの魚やカゲロウやトビケラ、カワゲラなどの水棲昆虫など、魚類・水棲生物の繁殖や生活に取り返しのつかない深刻な影響を与えることになります。

北海道日高地方沙流川水系岡部川砂防ダム
ダム放流口には大量の泥が目立つ

南茅部町八木川 2004年8月20日
ダム放流口には大量の泥が目立つ

南茅部町八木川 2004年8月20日
泥が巻き上げられてダムから下流に流れていく

南茅部町八木川 2004年8月20日
ひどい泥水となって川を流れる

南茅部町八木川 2004年8月20日
ひどい泥水は海に流れ出し、海を茶色に染める

ダムが無いときの川底とダムができてからの川底の差を見てみよう

もっと詳しくダムについて知りたい方は、「鮭はダムに殺された」(岩波書店)をご覧下さい。