自然の川とダム

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生命育む自然の川

川の場所によって、川底の石が浮いている場所があります。川底の石が浮いているのは、その周りからでている伏流水・わき水の水圧によるものです。その場所を歩いてみると、川底が崩れてしまうくらいやわらかいのです。

伏流水やわき水はいつも温度が一定です。そのような場所は北海道の真冬の時でも、5度以上もあります。川の水の温度は0度近くになっていますので、伏流水・わき水があるところは温かく感じます。逆に夏は気温の上昇とともに水温も上昇しますが、伏流水・わき水のところは冷たく感じます。

サケは産卵する前に、尾びれで川底の石をはたいて、アリ地獄のような鉢状の窪みを掘ります。そして、鼻をその窪みにつけます。犬がにおいをかぐ行動とまったく同じ行動です。これは自分の生まれ育ったわき水のにおいを覚えていて、その記憶にあるわき水がでているか確かめているのです。

わき水がでているところでは、川の石は浮いています。浮いていて、年中一定の温度のわき水がでているというとこは、常に新鮮な一定温度の水が川底の石すみずみにいきわたっています。川底の石の下にいるサケの赤ちゃんも凍えることなく快適に冬を越せ、無事にふ化することができるのです。

 

砂利が失われるとグランドキャニオンに?!

川底にある砂利、小さな石から大きな石にはそれぞれ大切な役割があります。

それは川底の地層の侵食を守っているのです。砂利がなくなったら、その下が固い岩盤であればいいのですが、そうではなく軟弱な堆積層や粘土層、火山灰層などの場合は、グランドキャニオンのように深く掘り込まれてしまうのです。

 

自然界の変遷はゆっくり進行している

長い年月をかけてできた自然の川は安定しています。ダムのない自然の川を観察してみればわかると思いますが、川の石が苔むしています。それは同じ石が同じ場所にずっと動かずにいるという証拠です。

石が動かないということは、ちょっとした雨では大水がでないことを示しています。また、苔は泥をかぶったら光合成できなくなり、死んでしまいますから、苔むした石があるということは「泥水」が流れることがないことを証明しています。つまり、川水の流れが非常に安定している証拠なのです。また、台風など時々発生する大増水の時は、石が動いてしまいますが、増水が終わると川はまた元のような姿に戻ります。これは、川が安定しているからです。

では、どうして安定できるのでしょうか?

それは、川の上流の森が豊かであるからです。森が豊かであるということは、沢山の木が川の周りにあるということです。その木々の落ち葉が何世代にもわたって堆積した地面はスポンジのようにふかふかしていて、水を蓄えたり、地下に水を染み込ませたりしています。

たとえ大雨が降っても川に流れ出る水の量を調節して、川を守っているのです。

自然の川の石は苔むしていて、水の流れのすぐそばまで草木が茂っている。

これがごく普通の川の仕組みです。

ところが、今、日本では川の仕組みが萎え、失われ、川が壊れ始める重要な問題が浮上しています。サケは安心して繁殖ができにくくなったばかりではなく、水がきれいな川からどんどん他の魚も姿を消し始める深刻な事態になっているのです。