現在に至るまで
稗田一俊(ひえだ・かずとし)
1948年福岡県吉井町生まれ。1972年東京水産大学(現・東京海洋大学)増殖学科卒。水中撮影専門の映画会社を経て、フリーランスのカメラマンとなる。
1976年に東京多摩川でヤマメの自然産卵の撮影に成功する。これが科学朝日(朝日新聞社)に取り上げられた。1977年に遊楽部川(ゆうらっぷがわ)でサケの撮影(アサヒグラフ:朝日新聞社)を手がけ、その後、北海道二海郡(旧山越郡)八雲町に定住した。
魚・川・自然の写真を撮るという仕事から、自然の大切さ・役割を学び、自然保護の活動を始める。
仕事のコンセプト
(本人の言葉より)
「自然(魚や川)から教えてもらったことは自然(魚や川)にお返しする」ことを目標にしています。つまり、「現場の情報は現場に返す」⇒「現場の情報をそこで暮らしている人たちに伝える」
理由はその場所の自然と一生涯、また、世代を超えて付き合っていくのは、他でもなく、その場所で暮らしている人たちだから、その人たちにその自然のことを知ってもらいたいと思うからです。そうすれば、自然を大切にしてくれると考えるからです。
これまで、サケを撮影してきたのですが、サケの産卵行動やふ化の仕組み、ふ化した稚魚が育つ仕組みなどをじっと見つめていたら、サケの卵やサケの稚魚を育てる仕組みが川にあることに気がついてきました。命育む仕組みが川に備わっているのです。
サケは卵を川底に産み落とします。そして卵を産み落としてからすぐに親サケは死んでしまいます。川底の石の下の奥深くに残された卵は身動き一つできないまま、放り出されたままになってしまいます。何が起きてもどうすることもできない「卵」なのです。ところが、その卵はりっぱに育ち、ふ化し、泳ぎだすまでに成長します。
そこで、「誰が育てているのだろうか?」という疑問が生まれます。
そう、さけの卵を育てているのは、「川」なのです。川には命を育てる仕組みが備わっているのです。では命を育てる仕組みは一体何だろう?と考えていたところ、川の仕組みが見えてきたのです。この川の仕組みから、水が流れる仕組みが見えてきて、この「水が流れる仕組み」がとても重要であることが解ってきたのです。
その仕組みを萎えさせ、壊し、失わせるのが「ダム」だという事もわかってきました。こうした視点から、ダムのあり方を見直してほしいと考えるようになり、様々な活動を始めることになったのです。
また、動植物たちが様々に係わっており、それらの食べ物、「栄養」をキーワードにして、観察をしながら、撮影もしています。